① 数学でいう”答え”とは何なのか? (1) “解く”と”正しい”の違い 数的処理に限らず、文章理解や受験を含めたすべての問題に関係します。何が正しいのか厳密に判らない人が多いです。 例1・・・2次方程式「x^2-3x-4=0」を解け。 解答1・・・与式⇔(x-4)(x+1)=0 ⇔ x=-1,4 解説1・・・答えがx=-1,4なのは当たり前だろと思われるかもしれないですが、「答えはx=4である」と言ったらどうでしょうか?論理的に考えてx=4は答えですから、正しそうに思えますよね? でもダメなんですよ。問題はあくまで「解け」ですから、もう1個の解であるx=-1を書かなければ「完全に正解」とは言えないわけです。部分的に正解という感じです。 集合で述べた通り、「解く」というのは「集合が同じもので”難しそうな表現”から”簡易な表現”にすること」なんです。 例1は集合を等しくしないといけないので、x=-1,4とするのが正解です。 例2・・・3≧2 を証明せよ。 解答2・・・3-2=1≧0なので、3≧2 // 解説2・・・問題自体が自明で証明のしようがないですが、無理やり証明するとこうなります。 イコールが成り立たないですよね? この問題が、もし”解け”という問題であれば(解けは集合が同じものを求めることなので)間違いとなります。 しかし、この問題は”解け”ではなく「証明せよ」ですので、正しいかどうかを問うているわけです。よって「3≧2は正しい」と言えるのです。 以上が「”解け”と”正しい”の違い」です。 要するに、「言い換え」が「=」「解け」で、「狭い⇒広い」が「正しい」ということです。 余談ですが、よく「国語は答えが色々ある」と言う人がいますが、これは誤りです。今まで見てきたとおり、”解け”というのは「等しいものを」「過不足なく」「より平易な表現で」示すことなので、答えが複数あるわけありません。もちろん、多少の表現の違いはありますが、内容に関しては「答えは1つ」です。このことは国語を含め、全ての問題に共通する大事な考え方です。 (2) “確実に言える”とは? “確実に言える”とは、「どんな場合において」も「真である」ことを言います。 問題によっては、場合分けをしないと解けない問題ってありますよね。 例えば、表などを書いていくと、それが一通りに決まらないことがあります。そのような場合は”Aさんがまぐろを食べた場合””Aさんがまぐろを食べなかった場合”などのように、場合分けしたうえで他のポイントがどうなっているか考えてあげなければいけません。 場合分けを行って別の結果が出た場合は、その「別の結果」は「確実に言えない」わけです。 “確実に言える”ことを考える際には、ベン図の配置パターンを考えることも多いです。 例えば「AならばB」という文面があったら、Bのベン図の中にAのベン図を描くのが一般的なので「¬A∧Bは確実に存在している」と思いがちですが、別に「A=Bかどうか」はいっていないので「¬A∧Bが存在しているかどうかは確実には言えない」んですね。 ② 文章理解・英文解釈への応用 (1) 指示語・内容一致 「数学でいう”=”である部分が答え」となります。つまり「等しいものを」「過不足なく」「より平易な表現で」示すことです。結局「解け」と同じことなんですね。 よく言われる「文章全体に当てはまる」なんてことはありません。必ず「対応する文」が存在します(複数の文が根拠となる場合もあります)。ですので、学習する際には「根拠は第~文」と言える必要があるわけです。 (2) 要約 要約で大事な点は「いらないもの」です。 ①主張と関係ない話,②(同じ内容の)反復,③具体例、は要約から省きます。残ったものをまとめていきます。 ここは数的処理の解説なので具体例は割愛しますが、市販の問題集で練習できますので是非確認してみて下さい。
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① 命題 (1) 命題の定義 「チワワは犬である」や「x>0ならばx>1である」など、数式や言葉で表された事柄が正しいか正しくないかが定まっている場合、その事柄を「命題」といいます。 (2) 命題の真偽 「チワワは犬である」は正しく「x>0ならばx>1である」は誤りです。命題が正しいことを「真」,正しくないことを「偽」といいます。 命題が偽であることを証明するためには、反例を1つ挙げればよい。 (3) 仮定と結論 命題は「x>0ならばx>1である」のように、「pならばq」のような形で表されることが多いです。「チワワは犬である」も「チワワならば犬である」と言い換えることができ、これも「pならばq」の形ということができます。 命題「pならばq」で、「p」のことを「仮定」,「q」のことを「結論」といいます。 「pならばq」は「p⇒q」と表します。注意点は、この記号は問題では「命題が真である」場合に使うことが多いことです。 (4) 命題と集合の関係 条件pが表す集合を「P」,条件qが表す集合を「Q」とする。 「pならばq」が「真」のとき、「集合Pは集合Qに含まれる」ことも「真」になります。逆も成り立ちます。 例1…命題「xが自然数 ならば xは整数である」「x>1ならばx>3」の真偽をそれぞれ判別し、理由を述べよ。 解答1…命題「xが自然数 ならば xは整数である」は真である。 なぜならば、自然数全体の集合は整数全体の集合に含まれているからである。 命題「x>1ならばx>3」は偽である。 なぜならば、x=2のとき命題は成り立たないからである。 ② 必要条件・十分条件 「p⇒q」のとき「pはqであるための十分条件」「qはpであるための必要条件」といいます。 「p⇔q」のとき「pはqであるための必要十分条件」「qはpであるための必要十分条件」「pとqは同値」といいます。 「p⇒q」も「q⇒p」のどちらも成り立たないとき、「pはqであるための必要条件でも十分条件でもない」「qはpであるための必要条件でも十分条件でもない」といいます。 「矢印の根元が”十分条件”」「矢印の先が”必要条件”」と覚えることができます。 例2…2つの集合P={x|x^2<4},Q={x|x<2}を考える。集合PとQの関係について書かれた次の選択肢の中から正しいものを選べ。 (0) QはPであるための必要条件である。 (1) QはPであるための十分条件である。 (2) QはPであるための必要十分条件である。 (3) QはPであるための必要条件でも十分条件でもない。 解答2…集合Pを変形すると P={x|-2<x<2} となるので 「P⇒Q」は偽であり、「Q⇒P」は真である。 […]
① 集合の基礎 (1) 集合の定義 「集合」とは「いくつかのもの」からなる「集まり」のことです。ここでいう「いくつかのもの」というのは、数学では「3,4のようなもの」や「とりうる範囲」のことを指します。そして「いくつかのもの」の1つ1つを「要素」と呼びます。 「集合」という考え方は数学を考えるうえで、どの分野でも出てくる重要な概念です。難しい数学の問題を考える上では、集合と言う概念なしでは考えることは不可能です。と言っても、われわれが普段使っている言葉を組み合わせることで、数学での「集合」も理解することができます。 言葉遊びだったり、数字遊びから始めてみましょう。 (2) 集合の表し方 始めは慣れないかもしれないですが、数学では集合を次のように表します。 A={2,4,5,9,10},B={a|aは整数,-4<a<2},U={x|xは実数},φ 上記の式で、「A,B,U,φを集合」と呼び「”2″だったり”x”だったり”a”だったりを”要素”」と呼びます。また集合の要素が1つもないものを「空集合」と呼び、記号「φ」で表します。 集合Bについて考えてみましょう。「あれ変だな?」と感じると思います。それもそのはずです。だって「-4より大きくて2より小さい整数って、-3,-2,-1,0,1」ですよね。だから集合Bを B={-3,-2,-1,0,1}と表記してもいいのでは?と思いますよね。その通りです!ここが集合の最も大事な点の1つです。 別の集合を考えてみましょう。集合Cを、C={x|x^2-3x+2=0}とします。方程式を解くとx=1,2となるので、C={x|x=1,2}と表記してもよいのです。もちろん逆に考えることも可能です。以下のようにどのような表記をしても同じなのです。 D={x|xは1以上の整数}={x|xは自然数}={x|x=1,2,3,4,…}={x|xは整数で0.5以下ではない} (3) 「解く」とは? 「解く」というのは「集合が同じもので”難しそうなもの”から”簡易なもの”にすること」です。難しいですよね? このことが数学の問題を「解く」ということが「復元する」と言える所以(ゆえん)です。すなわち「解け」というのは「集合を要素を判りやすい形に復元せよ」という意味なんです。「数学で問題を解ける」のは「もともと答えがある」と考えることができ、せっせと色んな公式などを駆使して「復元」しているにすぎないのです。 歴史的にも、「哲学」から「論理学」,「論理学」から「数学」が誕生したことを考慮すれば、こういう理屈っぽいことが根底にあるのも納得できませんか? ② 「または」と「かつ」,”否定” (1) 「または」と「かつ」の記号 「AまたはB」⇔「A∨B(通常はV次ではなくU字です)」 「AかつB」⇔「A∧B(通常はU字の上下さかさまです)」 「または」は「どちら(の要素)でもよい」,「かつ」は「どちらも満たしていないとダメ」というイメージです。 A={x|xは整数},B={x|x>0},C={x|x<3},{x|x<0}とすると A∨B={x|xは整数},A∧B={x|xは自然数},A∧B∧C={x|x=1,2},B∨C={x|xは実数} B∧C={x|0<x<3},B∨D={x|x≠0の整数},B∧D=φ,C∨D={x|x<3},C∧D={x|x<0} となります。 例1…集合A,B,Cを次のように決める。A={a|a^2+a-2=0},B={a|a=-2,-1,0,1,2},C={a|a=2} このとき、A∨B,A∧B,B∨C,B∧C,A∨C,A∧C,A∨B∨C,A∧B∧C を求めよ。 解答1…A∨B={a|a=-2,-1,0,1,2},A∧B={a|a=-2,1},B∨C={a|a=-2,-1,0,1,2} B∧C={a|a=2},A∨C={a|a=-2,1,2},A∧C=φ,A∨B∨C={a|a=-2,1,0,1,2},A∧B∧C=φ (2) 集合の”否定” 集合では「否定」を考えることができます。A={x|x<3}とすると、(Aの否定)={x|x≧3}となります。 (Aの否定)の集合を記号で表すと、「Aの上に横線を引いたもの」になります。ここでは集合の前に「¬」を付けます。 〇ド・モルガンの法則…¬(A∨B)=¬A∧¬B,¬(A∧B)=¬A∨¬B
① 場合の数 事象Aの(がおこる)パターンの数のこと ex…サイコロを2つ同時に投げた時、ぞろ目となる場合の数を求めよ。 「場合の数」というのは「パターン数」に変換して考えます。数学では「場合の数」のように、数学語?のような表現をもっています。それを理解して覚えることも、数学の成績を上げるために大切なことです。 ② 記号とその意味 (1) n! (nの階乗) 「n!」⇔「n個のものを順番に並べる場合の数」 計算式は以下のようになります。 n!=n(n-1)(n-2)…2・1 例1…5人の学生を一列に並べる方法は何通りあるか。 解答1…5!=5×4×3×2×1=120通り (2) nPr (Pはpermutationの頭文字) 「nPr」⇔「n個のものからrを選んで並べる場合の数」 計算式は以下のようになります。 nPr=n!/(n-r)! =n(n-1)(n-2)…(n-r+1) 例2…6人の学生から4人選ぶときの並べ方を求めよ。 解答2…6P4=6×5×4×3=360通り 注…本来nとrに書く文字や数字は小さく書きますが、表記の都合上、大きくなっています。(3)のCも同様です。 (3) nCr (CはCombinationの頭文字) 「nCr」⇔「n個のものからrを選ぶ場合の数」 計算式は以下のようになります。 nCr=n!/r!(n-r)! =n(n-1)(n-2)…(n-r+1)/r(r-1)(r-2)…2・1 例3…7人から3人の選び方は何通りか求めよ。 解答3…7C3=7×6×5/3×2×1=35通り 組合せを考えるときのコツは「順列を先に考え、そこから”並びをなくす”」ことです。 文面表現としては”組合せ”ありきで、「組合せに並び替えが発生する」ように思います。しかし「計算の考え方は文面表現とは異なる」ので”順列を先に考えないとうまくいかない”のです。 組合せを考えるときは「順列の順番をなくす」と考えましょう。 […]
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