数的処理のコツ「判断推理”必要条件・十分条件”」
① 命題
(1) 命題の定義
「チワワは犬である」や「x>0ならばx>1である」など、数式や言葉で表された事柄が正しいか正しくないかが定まっている場合、その事柄を「命題」といいます。
(2) 命題の真偽
「チワワは犬である」は正しく「x>0ならばx>1である」は誤りです。命題が正しいことを「真」,正しくないことを「偽」といいます。
命題が偽であることを証明するためには、反例を1つ挙げればよい。
(3) 仮定と結論
命題は「x>0ならばx>1である」のように、「pならばq」のような形で表されることが多いです。「チワワは犬である」も「チワワならば犬である」と言い換えることができ、これも「pならばq」の形ということができます。
命題「pならばq」で、「p」のことを「仮定」,「q」のことを「結論」といいます。
「pならばq」は「p⇒q」と表します。注意点は、この記号は問題では「命題が真である」場合に使うことが多いことです。
(4) 命題と集合の関係
条件pが表す集合を「P」,条件qが表す集合を「Q」とする。
「pならばq」が「真」のとき、「集合Pは集合Qに含まれる」ことも「真」になります。逆も成り立ちます。
例1…命題「xが自然数 ならば xは整数である」「x>1ならばx>3」の真偽をそれぞれ判別し、理由を述べよ。
解答1…命題「xが自然数 ならば xは整数である」は真である。
なぜならば、自然数全体の集合は整数全体の集合に含まれているからである。
命題「x>1ならばx>3」は偽である。
なぜならば、x=2のとき命題は成り立たないからである。
② 必要条件・十分条件
「p⇒q」のとき「pはqであるための十分条件」「qはpであるための必要条件」といいます。
「p⇔q」のとき「pはqであるための必要十分条件」「qはpであるための必要十分条件」「pとqは同値」といいます。
「p⇒q」も「q⇒p」のどちらも成り立たないとき、「pはqであるための必要条件でも十分条件でもない」「qはpであるための必要条件でも十分条件でもない」といいます。
「矢印の根元が”十分条件”」「矢印の先が”必要条件”」と覚えることができます。
例2…2つの集合P={x|x^2<4},Q={x|x<2}を考える。集合PとQの関係について書かれた次の選択肢の中から正しいものを選べ。
(0) QはPであるための必要条件である。
(1) QはPであるための十分条件である。
(2) QはPであるための必要十分条件である。
(3) QはPであるための必要条件でも十分条件でもない。
解答2…集合Pを変形すると
P={x|-2<x<2}
となるので
「P⇒Q」は偽であり、「Q⇒P」は真である。
よって、「Qは十分条件」ですね。
答えは「(1)」となります。